九州における1980年の異常気象による水稲品種の被害について
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概要
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九州地方における1980年の異常気象による水稲被害の品種問差異を明らかにするために,九州7県の農業試験研究機関で実施されている水稲奨励品種決定基本調査結果を主体に,1978・1979の2カ年平均を対象とする,1980年の水稲品種の被害解析を行った。異常気象による収量低下は,日照不足・低温などによる生育・登熟障害,いもち病・白葉枯病の発生蔓延による被害,集中豪雨による冠水害,ならびに山間高冷地での低温障害によるものであり,それぞれに品種間差異が認められた。そのうち,いもち病・白葉枯病ならびに低温障害では,それぞれの品種が持つ低抗性によって被害の様相が異なり,育種的対応の必要たことが認識された。一方,1978・1979,2カ年平均に比べた1980年の収量低下は,早生品種が晩生品種より概して大きく,日本晴(早生)はレイホウ(晩生)より穂数の減少と登熟歩合の低下が著しかったが,このような品種間差異は冠水害のそれと共に,品種による出穂期の早晩が大きく影響したことによるものと考えられた。これらの試験結果に基づいて,九州地方に分布する水稲主要品種と異常気象による被害との関連について若千の考察を行い,その育種的対策を述べた。
- 日本作物学会の論文
- 1981-12-10
著者
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