水稲の登熟期間における日射の分布型と登熟との関係
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概要
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昭和51年と52年の登熟期間の日射量を比較すると, 両年ともほとんど差がなく寡照年次とみられる。しかし, 51年に比較して52年は頴花数が多くしかも登熟歩合も高い。そこで52年の登熟が向上した理由を探索した。(1) 日照時数と日射量との間には200cal・cm^<-2>・day^<-1>以上で両者に高い正の相関が認められるが, 200cal・cm^<-2>・day^<-1>以下は日照時数としては評価されない。したがって, 作況試験においても日射量を使用すべきであると考えられた。(2) 日別日射量の頻度分布は51年は弱日射と強日射に集中する2頂型分布をとるのに対し, 52年は弱日射から強日射まで比較的均一な分布がみられた。(3) 暦日上の日射量の分布から弱日射の連続した回数を比較すると, 52年は51年より弱日射の連続した日が少ない。(4) 53年及び54年に登熟期遮光処理によって日射の分布型を人為的に変化させ, 登熟との関係を検討した。登熟期20日間の平均日射量が同一であっても, 日別日射の分布型が強弱に分離した2頂型の区より中日射に集中した分布型の区で登熟歩合が高く, また, 遮光処理の連続日数が長くなる程登熟・収量とも低下が著しいとみられた。(5) 以上の実験により登熟期日射量の分布型及び弱日射の連続日数の多少から52年が51年より登熟期乾物生産に有利であったことが, 遮光処理実験により推察された。
- 日本作物学会の論文
- 1980-08-16
著者
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