水稲の稚苗および成苗における作期の移動が収量生産過程に及ぼす影響
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概要
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水稲と裏作物との作期競合を回避することを目的として, 水稲品種越路早生の稚苗および成苗を用いて作期移動が収量成立過程に及ぼす影響を検討した。1) 作期の遅延にともない出穂迄日数は指数曲線的に短縮し, その短縮の程度に従い茎数, 葉面積, 出穂期乾物量が減少する。2) 作期の遅延は穂数の減少を通してm^2当たり頴花数を減少し, 出穂迄日数と密接な正の相関が認められる。また, 頴花数/葉面積比と葉面積指数との間には密接な負の相関が認められ, 晩植ほど1頴花当たり葉面積は減少する傾向が認められる。3) 単位面積当たり頴花数と登熟歩合との関係は稚苗・成苗とも作期別に密接な負の相関が認められるが, 回帰直線の勾配は登熟期日射量が減少するに従い急激に増大し, 頴花数に対する登熟歩合の低下が著しい。4) 収量は稚苗・成苗を混みにして登熟期日射量と極めて高い正の相関が認められる。5) 作期の移動にともなう収量変化は, 出穂迄日数の変化により頴花数が支配され, さらに登熟期日射量によって登熟歩合が支配されるとみられた。したがって, 裏作物との作期競合を回避するためには, 日射量の多い時期に出穂させ得る品種や育苗様式の選択および, 出穂迄日数の減少に対しては栽植密度や施肥法を検討することが重要であろう。
- 日本作物学会の論文
- 1978-03-16
著者
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