黒ボク土の一般理化学性に及ぼす植生遷移の影響

概要

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植生の二次遷移の進行とともに黒ボク土の諸性質がどのように変化していくかを長野県菅平高原において調査した結果,以下のことが明らかとなった.1)ススキ群落下の土壌は表層多腐植質黒ボク土であり,堆積腐植層は L 層のみで F-H 層の発達はみられなかった.また,アカマツ林および広葉樹林下の土壌は表層多腐植質黒ボク土ないし淡色黒ボク土に分類された.各地点とも F-H 層の発達が認められた.2)ススキ草原の土壌と遷移が進行して森林化した土壌の緻密度は,ススキ草原のほうが高く緻密であった..ススキ草原から遷移が進みアカマツ林になると,容積重は低下し,孔隙率,透水係数は高くなり,土壌の通気性および透水性がよくなることが示された.3)ススキ高原,アカマツ林および広葉樹林の土壌では, pH(KCl) と Y_1,CEC と全炭素量,粘土含量と脱鉄処理可溶鉄量,そして脱鉄処理可溶アルミニウム量とリン酸吸収量との間で,|r| > 0.9 の相関がみられた.また,遷移の進行とともに表層土壌の全炭素量が減少し,それに伴 CEC も低下することが示された.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1993-04-05