腐植酸の粒子量分布,平均粒子量ならびに粒子量の多分散性
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概要
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土壌腐植酸の粒子量を腐植酸型や土壌型との関連から調べ,腐植化過程との関係を把握することを目的として,A型,B型,R_p型,P型腐植酸7点を,6種のセファデックスを用いた逐次ゲルろ過法により粒子量別に7画分に分画した.その結果から粒子量分布,数平均粒子量(M_n),重量平均粒子量(M_w),Z平均粒子量(M_Z)および粒子量の多分散性を検討し,合せてこれらの諸特性と腐植化過程との関係について考察した.1)腐植酸の粒子量は0.12×10^4以下から10×10^4以上の範囲に分布し,最も多く分布する粒子量範囲は0.25〜0.75×10^4である.粒子量0.75 ×10^4以下に分布する割合はA型,ポドゾルB_h層P型>B型>褐色森林土P型>R_p型腐植酸の順であり,また粒子量5×10^4以上に分布する割合はR_p型,褐色森林土P型>B型>ポドゾルB_h層P型>A型腐植酸の順である.したがってポドゾルB_h層を除き腐植酸の腐植化度の高いものほど低粒子量域に,腐植化度の低いものほど高粒子量域に分布する割合が高い.またポドゾルB_h層のP型腐植酸は低粒子量域の分布割合が高く,褐色森林土のP型腐植酸の粒子量分布と明らかな相違が認められた.2)A型,B型,R_p型腐植酸のM_n葉0.57〜0.92×10^4,M_wは3.0~7.9×10^4,M_Zは11.5〜16.8×10^4の範囲にあり,いずれもR_p型>B型>A型腐植酸の順である.ポドゾルB_h層,褐色森林土のP型腐植酸のM_nは0.66,0.84×10^4,M_wは4.5,7.7×10^4,M_Zは14.9,16.8×10^4であり,いずれもポドゾルB_h層>褐色森林土となる.3)腐植酸の多分散性の尺度であるM_w/M_nの値は5.3〜9.2の範囲にあり,褐色森林土P型>R_p型>B型> ポドゾルB_h層P型≧A型腐植酸の順であり,ポドゾルB_h層を除き,腐植酸の腐植化度の高いものほど多分散性は低下する.4)腐植酸の粒子量は,腐植化度が進むにつれて,5×10^4以上の分布割合が減少し,0.25〜5×10^4の範囲に均一化する傾向がある.5)腐植酸の粒子量分布,平均粒子量,多分散性は土壌中における腐植酸の生成条件や形成過程を反映し,腐植化過程を表す一つの指標になるものと考えられる.
- 1985-04-05
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