圃場管理のための大縮尺土壌図の作成と土壌情報システムの利用
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概要
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微地形と土壌分布の法則性を検討して大縮尺土壌図を作成した.この土壌図から短時間で圃場単位の土壌データを得るために,土壌情報システムを用いて圃場単位の土壌データを補完した.さらに,その補完精度について検討した.また,土壌情報システムによって圃場管理に利用するための圃場土壌特性図作成手法について検討した.空中写真判読に基づく地形区分と土壌分布の間に,低地では自然堤防と褐色低地土が,台地では平坦面,凸型面と擬似グライ土が,凹型面とグライ台地土が対応関係がある.これらに区分される地形では予察土壌図にほぼ一致した.一方,旧河道では細粒質・レキ質の灰色・グライ低地土が条件によって様々に分布し,後背低地においても灰色低地土,グライ低地土,低位泥炭土と連続的に変化していた.これらのことから,旧河道,後背低地では現地調査で土壌型,土壌区の境界線を決定することが必要である.大縮尺土壌図と土壌情報システムを併用することによって,レキ層,グライ層,泥炭層の出現する深さを区分する圃場単位の土壌特性図(圃場土壌特性図)が作成できた.圃場データの多くは土壌図からの補完によるものであった.大縮尺土壌図からレキ層,グライ層の出現する深さについて圃場データを補完すると,全筆調査と比較して,これらの層が出現するにもかかわらず出現しないと区分されるなどといった誤差は最大28%であった.これらの誤りは,調査データを増やすにつれて減少する.この手法によって,圃場データが少ない場合でもレキ層,グライ層,泥炭層,の出現する深さ,あるいは土壌の透水性,保水性などの土壌の特性値について圃場単位の土壌特性図を短時間で作成でき,土壌・圃場管理に有用な情報の提供が可能である.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1993-04-05
著者
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