溶脱層,集積層の分化とその土壌分類基準への導入
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概要
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水田土壌における還元溶脱・酸化集積作用,洪積台地の土壌に主としてみられる粘土の移動集積作用について,それぞれの指標となる性質と,それらを土壌分類にどう取り入れるべきかを検討した.1)水田土壌の還元溶脱・酸化集積の指標としては,分析的には遊離鉄そのものよりも遊離鉄:粘土比が確かな拠り所になり,その比が表層で低下し次表層で最大となる垂直分布パターンを取る.形態的には灰色の表層と,断面内で斑鉄(糸根状が優勢)にもっとも富む次表層の存在が指標となる.灌漑水と地下水とは動態が基本的に異なるので,最高次の分類段階で灌漑水湿性と地下水湿性の土壌とが同居することは,生成的に問題があるだけでなく,分類の利活用の面からも望ましくない.2)粘土の移動集積は洪積台地の土壌にしばしばみられる.その指標としては,形態的には集積層の粘土皮膜の存在であり,分析的には次表層にふくらみを持つ細粘土:全粘土比の垂直パターンである.粘土の移動集積の存否は,風化とカオリナイト化の程度,風化により放出しうる潜在養分の多少,塩基洗脱の強度,排水条件などの情報を随伴していると考えられ,土壌群の細分段階で分類基準として取り入れることは意義がある.
- 一般社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1985-10-05
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