土壌腐植の性質の土壌分類基準としての意義
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概要
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新たな分類基準の導入によって土壌分類の改善を図る目的で,本報では黒ボク土および類縁土壌,褐色森林土,赤黄色土,低地土壌,泥炭土を含む35断面の土壌について,弘法・大羽法,熊田・太田法に準じて腐植組成,腐植酸の光学性などを調べた.えられた結果を要約すると以下のようである.1)標準的な黒ボク土がA型腐植酸をもち,腐植酸:フルボ酸比がたかい(1.60±0.68)のに対し,天然林下に発達したものはP型腐植酸で特徴づけられ,腐植酸:フルボ酸比も低い(0.21±0.10)など著しい対照をなす.後者は黒ボク土の中で細区分することが望ましく,その場合腐植の性質が最も有力な基準となる.2)黒ボク土以外の土壌群に黒色の表層土をもつものがあり,それらは非晶質物は少ない(リン酸吸収係数1500以下)が,A型腐植酸をもち,腐植酸:フルボ酸比も高いなど腐食の性質は黒ボク的である.これらの土壌に対し,腐食の性質と無機非晶質物の量的指標とを組み合せて,黒ボク土以外の土壌群に黒ボク土へ移行する亜群を設けることが望ましい.3)わが国では,黒泥土と低湿値に再堆積した黒ボクとの判別に迷うことが少なくない.交換性カルシウムに富み分解の進んだ黒泥土でも腐植酸は最も未熟なR_p型であり,一方,還元条件下の黒ボクグライ土がA型腐植酸をもつことを考えると,腐植酸の型もしくは光学生は両者を識別する有力な基準となりうる.
- 1985-06-05
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