根分け法によるチューリップ根内集積窒素の挙動の解析

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冬期間、チューリップの根に集積する窒素が、窒素を吸収した根からその他の根へ移動しうるか否かについて根分け法を用いて検討した。根群を二分し、片方は^<15>Nを含む培地に漬けて、他方は無窒素培地に入れて栽培する区(I区)と、一方を^<15>N培地、反対側を非標識窒素培地に入れる区(II区)の2区を設けた。処理開始5日目までに、片側の根群から吸収した^<15>Nは、I区、II区ともに反対側の根群へは全く移動していなかった。同時に処理開始5日目においても、I区-N培地中の根の窒素濃度および窒素成分含有量は変わらなかった。この結果は、冬期間チューリップの根に高濃度に集積する窒素は個々の根が独立に蓄えていることを示唆している。-N培地中の根の全窒素濃度は約45mg N/g 乾物重で、そのうち可溶性窒素は15mgN,不溶性窒素は30mgNであった。また、アミノ酸の主成分は4-メチレングルタミンであった。一方、窒素を添加した培養液中の根には、窒素供与開始5日目で、すでに全窒素濃度は約80mg N/g 乾物重にまで高まり、その大部分は80%エタノール可溶性窒素であった。アミノ酸の主成分はグルタミンであったが、硝酸も比較的高濃度(10 mg N/g 乾物重)に検出された。以上の結果、冬期間チューリップの根で吸収集積した窒素の他の根への分配は起こりにくいことが示された。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1991-02-05

根分け法によるチューリップ根内集積窒素の挙動の解析

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