土壌粒団の安定性に関する土壌化学的研究(第4報) : ハロイサイト系人工土壌の粒団生成におよぼす腐植, アルミニウム, 鉄および土壌改良剤の併用効果

概要

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既報の実験結果に基づいて推定した粒団生成過程における要因成分の役割を実証するために, 前報に引き続いてハロイサイト粘土・海砂・ガラス玉を混ぜ合わせたハロイサイト系人工土壌に鉄, アルミニウム, 腐植, アロン, ソイラックを組み合わせて併用し、湿潤と湿乾交代の二通りの条件下で1・3・6か月間インキュベートして粒団の造成実験を行なった。この結果, 人工粒団の生成におよぼす施用物質の併用効果はつぎのとおりであった。1.単純では粒団形成機能を示さなかったアルミニウムを腐植に併用すると, インキュベーション条件にかかわらず粒団生成が著しく増加したから, 腐植とアルミニウムが共存するとこれが複合して土粒相互の連結に大きな効果を発揮するものと考えられる。これはアルミニウムを吸着した粘土によって多量の腐植が安定な状態で粘土と結びつくことに基因するのであろう。また, 腐植に鉄を併用した場合にも粒団生成の増加が認められた。しかしながら, 腐植に限界量以上の鉄とアルミニウムを同時に併用すると, かえって粒団の生成が抑制された。2.ソイラックに鉄を併用すると, 1か月後にすでに高い粒団化度を示し, 粒団が短期間でできることがわかった。その後, 湿潤条件下では比較的効果が持続したが, 湿乾交代条件下では粒団の崩壊が著しく6か月後にはソイラック単用区の場合よりもかえって粒団化度が低かった。しかし, アルミニウムあるいは鉄とアルミニウムをソイラックに併用すると, 大粒団の生成が抑制される傾向が認められた。3.アロンに鉄を併用しても粒団生成に対して大きな影響が認められなかった。一方, アロンにアルミニウムを併用すると, アロンのもっ粒団形成機能が完全に抑制され, インキュベーション条件にかかわらず粒団の生成が認められなかった。4.微細粒団と小粒団との量比に基づくと, この土壌に施用物質を併用した試験区では, まず微細粒団ができ, これがさらに集合して高次に連結し, 大きな粒団へと段階的に発達することが推定できた。終わりに本研究を行なうに当たり, 御懇切な御指導をいただいた北海道大学石塚喜明名誉教授に深く感謝の意を表します。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1971-10-25

土壌粒団の安定性に関する土壌化学的研究(第4報) : ハロイサイト系人工土壌の粒団生成におよぼす腐植, アルミニウム, 鉄および土壌改良剤の併用効果

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