亜麻の生育に及ぼす日長の影響

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著者らは亜麻の生育に及ぼす日長の影響を短日区・対照区・長日区の3実験区を設け, 毎週草丈・葉数および分枝の数とその長さを調べ, また気孔の数および大きさを調べ, 次の結果を得た。1 伸長生長は生育初期から長日区がもっとも大で, 対照区がこれに次ぎ, 短日区がもっとも小であった。しかし生育後期には長日区は対照区の草丈とほとんど同じかかえっていくぶん小となったが, これは長日区では栄養生長が抑えられ生殖生長が促進されるためと考えられる。短日区の伸長生長は緩慢でしかも長日区・対照区の伸長生長が止ってもなほ継続されているので, 生育末期の短日区の草丈は対照区および長日区の草丈との差は小となった。これは短日区では生殖生長が抑えられていることを示している。2 分枝数は主茎の伸長生長が旺んになる伸長期から短日区が大となり, 対照区・長日区の順に小となった。また短日区ではこの時期から主茎の緩慢な生育に伴って分枝数が増加したが, 対照区・長日区では主茎の生育が促進されるので分枝の発生が止まり, ある程度伸長した分枝の枯死が見られて両区の分枝数は減少した。このために生育末期の短日区の分枝数と対照区・長日区の分枝数との差は大となった。分枝の伸長生長は短日区がもっとも大で, 対照区と長日区の分枝長は前者がいくぶん大であるがほとんど差がなかった。また対照区・長日区の分枝の伸長生長は緩慢で, 生育末期には短日区との差が大となった。3 開花は長日区がもっとも早く開花期間も短縮された。対照区は長日区より3日, 短日区は5日それぞれ遅れて開花した。しかも短日区の開花は不斉一で, 開花期間は延長された。地上部の全重および〓重は対照区がもっとも大で長日区がこれに次ぎ, 短日区はもっとも小であった。長日区は〓重/全重からみた栄養生長に対する生殖生長の割合が大であり, そして千粒重ももっとも大となった。短日区は長日区と反対に栄養生長の割合が大となって千粒重は長日区の約1/2であり, 対照区の千粒重はこれら両区の中間であった。4 葉数の増加は生育初期において各区ともほとんど差がなかった。しかし開花前後には対照区が大となり短日区がこれに次ぎ, 長日区ではすでに落葉が始まってもっとも小となった。また生育後期には, 短日区の茎の伸長生長が継続されているので葉数も増加しもっとも大となった。気孔の数は長日区がもっとも大で, 対照区がこれに次ぎ, 短日区がもっとも小であった。長日区における気孔密度の増大はこの区における植物体の物質代謝の旺盛なことと相伴うものと考えられる。
日本作物学会の論文
1966-03-25

亜麻の生育に及ぼす日長の影響

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