微量要素の欠乏が亜麻の生育および繊維細胞の発達におよぼす影響

概要

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微量要素のB・Mn及びMoの欠乏が亜麻の生育と繊維細胞の発達にどのような影響をおよぼすかについて実験, 次の結果を得た。1 Bが欠乏した場合の亜麻は生育末期に草丈の伸長が低下し葉数も減少した。特に根の生長は完全区に比較して悪いことが認められた。またB欠乏区の茎の全糖・非還元糖・粗澱粉および葉の粗澱粉等の含有率は完全区より大となった。B欠乏区の繊維細胞の大きさ細胞膜の厚さは完全区より減退した。このためにB欠乏区ではα繊維素は少く, β+γ繊維素は多くなって繊維の質は低下した。2 Mn欠乏区の亜麻の生育状態は完全区と比較してほとんど差がなかった。しかし分枝の発生数と根の生長が完全区より劣った。また葉の全炭水化物・還元糖・全糖は完全区に比較して減少する。繊維形成状態は完全区と同傾向を示し, Mn欠乏は亜麻の繊維にほとんど影響ないと考えられる。3 Mo欠乏区の亜麻では水耕開始後10日目頃に先端部の5〜10葉にクロローシスが認められ, 生育状態は完全区および他の2区より劣った。葉の還元糖・全糖および茎の粗澱粉は完全区および他の2区に比較してもっとも大で, 葉の粗澱粉はB欠乏区に次いで大であった。繊維歩留り, 繊維細胞の数・大きさが完全区および他の2区に比較して減少し, α繊維素が少くβ+γ繊維素が多くなった。このために繊維の質も低下した。
日本作物学会の論文
1965-03-15

著者

柳沢幸男
信州大学繊維学部

微量要素の欠乏が亜麻の生育および繊維細胞の発達におよぼす影響

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