深水直播の現地導入試験について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1 深水直播をそれぞれ1ha強の規模で2農家に導入研究した結果, 最も大きい問題は, 発芽苗立ちの不安定なことで, これを左右したのは代かき均平後の床がための良否であった。2 床がためが悪いと, 芽干しも必要になり, そのためヒエの発生も多くなった。3 収量は, およそ移植並みであったが, 多収のためには, 茎数, 穂数を多くえようとつとめるよりも, 分けつの質を揃え, 一穂粒数および千粒重を増加させる方向に管理することが大切で, そのためにも発芽苗立ちを斉一にすることが必要と思われた。4 作業時間については, 作付労力は減少したが, 準備作業や播種後の管理作業には移植栽培以上の入念煩雑さが必要であった。すなわち移植栽培とは異った重点作業を適確に行うことによって作付労力が分散できる効果しかみとめられなかった。5 今後の導入にあたっては, 深水管理が容易な地帯で, 代かき整地, 床がためが可能な範囲の規模を考慮して経営の中にとりいれるべきであろう。播種期の幅を分散し, 播種機の負担が過重にならないように計画し, 適度な床の硬さをまって播種できるように計画するならば, 田植労力不足のために粗雑化している移植栽培よりも多収になる可能性がある。したがって適確な移植作業が可能な範囲に移植面積を減じ, むりのない範囲で直播面積を増加するならば, 労力不足下においても経営面積当りの減産防止に役立つだろう。6 なお深水管理は実施困難な面もあるが, これについては, その後の研究により, 除草剤の利用, および下層施肥時期の考慮によりヒエの生えない, 過剰分けつしない浅水湛水直播の実施も可能になってきた。
- 1966-03-25
著者
関連論文
- 深水直播の現地導入試験について
- 27. 鎧潟干陸田の地力変遷 : 主として窒素潜在地力について(関東支部大会)
- イタリアンライグラス跡の水田における部分耕耘に関する試験
- 新潟県稲作における近年の生産性と品質の変化
- 水稲の苗まき栽培 : 特に苗令および施肥法について
- 水稲稚苗の多量暗出芽方式について
- 秋季カリアトール空中散布によるマツバイ除草の効果について
- 液肥の下層注肥の深さが稲の生育収量に及ぼす影響について
- 水稲品種の粒厚別米選法に関する研究
- 水稲原々種の栄養繁殖法に関する研究
- 新潟県における日本一うまい米つくり県民運動 : 第 1 期の成果と技術上の問題点