普通ソバの出芽および生育に及ぼす湛水処理の影響(栽培)
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概要
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普通ソバ(Fagopyrum esculentum Moench)の水田転換畑栽培では湿害による減収が問題となっている.しかし, 同一品種・系統において発芽から収穫までの湿害の発生を把握した例は無く湿害発生の実態は不明である.本研究では, 播種当日と播種後3日目, 本葉期, 開花期, 成熟期の各時期に, 夏型, 秋型, 中間型10品種・系統について, 湛水処理を受ける時期の影響ならびに湿害の程度と品種間変異について調べた.その結果, 草丈や種子数, 乾物重などは, 播種から本葉期までの生育初期の湛水処理で強く抑制され, 開花期以降の生育後期で受ける湛水処理では抑制されなかった.出芽に関しては, 播種当日処理よりも播種後3日目処理で出芽率は低下し, 播種から出芽までの短期間でも湛水処理の影響は異なった.15℃, 20℃, 25℃の各温度で湛水処理開始時の根長と出芽率との関係を調べたところ, 温度に関係なく根長30-70 mmで出芽率は低下した.また, 15℃, 20℃下の低温で処理期間の短い湛水処理では, 根長約3 mmでも出芽率は低下し, これらの状態が普通ソバにおける湛水処理に弱い状態だと分かった.以上, 普通ソバでは生育後期に比べ生育初期での湛水処理が生育を強く抑制すること, 特に播種期での湛水処理は出芽率の低下に加え, その後の生長を抑制することが明らかになった.耐湿性ソバ品種の育成には, 最も湿害の現れやすい播種期, 特に湛水処理に弱い根長約3 mm, もしくは30-70 mmで湛水処理に耐えるか回避する能力が必要となると考えられる.
- 2005-03-05
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