中国産ハイブリッドライスの物質生産に関する研究 : 第1報 乾物生産特性
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概要
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中国産ハイブリッドライス (F_1ライス) の多収性要因を物質生産的視点から明らかにする第1歩として, 中国浙江省において各時代の主役となったインド型普通稲の在来品種, 旧改良品種, 新改良品種の中から主要なものを比較対象に, F_1ライスの乾物生産特性を生長解析, 群落構造解析を中心に検討した。F_1ライスの玄米収量は在来品種の約2倍, 新改良品種の1.1-1.54倍の増収を示した。その要因として収穫指数の向上よりも全乾物重の増大効果が大きかった (第2表) 。F_1ライスにおける全乾物重の顕著な増大は生育期間の長さよりも平均CGRの高いことによる効果が大きく, 出穂期前30日間の平均CGRは30 g/m^2/dayに達した。この高いCGRはNARよりも全生育期間にわたる大きいLAIによって支持された結果であった (第3表) 。F_1ライスの高いCGRと大きいLAIは, 高い草丈 (稈長) と1茎当り稲体が大くて重いことによって形成される強靱で, しかも受光態勢の良い群落構造に負うところが大きかった (第5図) 。F_1ライスの群落吸光係数は小さく, 葉の垂直分布はピラミッド型で上層から下層まで広い範囲に分布する草型を示した。F_1ライスの個葉光合成速度は普通稲品種に比べて大差がなく, 各生育段階ともほぼ同じ値を示した。以上から, F_1ライスの多収性は稈が強健で光利用効率が高い群落構造を長期にわたり維持することによって物質生産を活発にしバイオマスを大きくすることによって実現されたと結論される。
- 1990-03-05
著者
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