多穂性程度の異なるトウモロコシ品種の登熟期における同化産物の転流
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概要
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1穂型のトウモロコシ品種として, タカネワセ(共通), および冬穂型の品種として, Q97×Q98(実験1 )ならびにQ21×Q22(実験2)を供試して, 登熟期における同化産物の転流を比較した. 1. 実験1の剪葉試験の結果, 1穂型品種では, 絹糸抽出期後20日間の雌穂の生長に, 絹糸抽出期までにその体内に蓄積された同化産物がほとんど利用されていなかったが, 多穂型品種では有効に使われていた. これに対して, 絹糸抽出期20日後以降の雌穂の生長には, いずれの品種とも, それまでに体内に蓄積された同化産物を利用していた. このことから, 1穂型と多穂型とでは, 絹糸抽出期前後の時期の同化産物の転流に大きな違いがあるものと考えられた. 2. 絹糸抽出期からその20日後の間に生長のみられたすべての雌穂(1穂型では第1および第2雌穂, 多穂型では第1から第3雌穂まで)の総体の生長率は, 多穂型の方が1穂型より高かった. 3. 実験2の^<14>Cの施用試験の結果, 雄穂抽出期から絹糸抽出期4日後にかけての期間では, 多穂型品種は1穂型品種よりも, 雌穂へ転流される同化産物の割合は低く, 茎, 葉鞘への割合が高くなっており, 一方, 雄穂抽出期にいったん体内に蓄積された同化産物の雌穂への再転流は盛んであった. 4. これらから, 1穂型と多穂型の間に見られる雌穂不稔抵抗性の違いには, 同化産物の転流の違いが大きく関連しているものと考えられた.
- 日本作物学会の論文
- 1985-08-10
著者
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