イネ芽ばえの生長におけるエチレンとジベレリンの相乗作用
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概要
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赤色光に下における, イネ子葉鞘および第1葉鞘の生長に対してエチレンとジベレリン(GA)は著しい相乗効果を示すことが見出された. エチレン単独では子葉鞘の伸長に対して著しい効果を示すが第1葉鞘の伸長促進効果は小さい. 一方, GAは内生エチレンを除去した気中では, 子葉鞘伸長に対する効果は小さいが, 第1葉鞘伸長に対しては著しい促進効果を示す. このようにエチレンとGAはイネ芽ばえの伸長に対して作用する時期がずれており, メソコチル(Suge, 1971)や子葉鞘のように発芽初期に発生する器官は, エチレンによりよく反応し, 第1葉鞘や第2葉鞘のようにそれよりおくれて発生してくる器官はGAによりよく反応する. しかし, エチレンとGAを同時に与えると, この両方の器官の伸長に対して著しい相乗効果をあらわした. エチレンはGA_3やGA_7のように活性の高いGAだけでなく, イネ葉条やエンドウ芽ばえから抽出されたGA様物質でバイオアッセイの結果からジバン環のC-2位に水酸基をもたないと推定されるGA様物質とも相乗的に作用した. これらのことから考えると, イネ芽ばえの初期伸長に内生GAと内生エチレンは相互作用を通じて重要な調節作用をもつているものと推定される.
- 1974-03-30
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