チャ挿し木苗における不定根伸長方向の品種間差異
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
実生のチャの根は深くまで分布するが, 挿し木によるチャは浅根化の傾向が強い.このことから, 挿し木個体の根系を構成する基本的な根である不定根の伸長方向が, 根系分布と密接な関係を持つのではないかと考えられた.そこで, 我が国の品種, アッサム種, 中国種を用いて, 挿し木苗から生じた不定根(直径1mm以上)の伸長方向の変異について検討した.挿し木は1994年および1995年の6月に行い, いずれも翌年の3月に苗を掘り取って根を調査した.不定根の伸長方向は鉛直線に対してなす角度で表した.我が国の品種はいずれも不定根の伸長角度に変異の幅が小さく, そのほとんどが65〜75゜の比較的大きな角度を示すことが明らかとなった.アッサム種, 中国種は不定根の伸長角度に変異が大きく, さらに, 平均伸長角度は我が国の品種に比べて約15゜小さかった.また, 我が国の品種に比べて, アッサム種, 中国種の多くは不定根の発生が少なかった.以上の結果から, 我が国の品種, アッサム種, 中国種間での不定根伸長方向の多様性が明らかとなった.また, アッサム種, 中国種は, 我が国の品種に比べて深い根系分布を持つ可能性を示唆した.
- 日本作物学会の論文
- 1998-12-05
著者
関連論文
- 接ぎ木スイカの木部いっ泌液中の無機成分濃度とサイトカイニン活性に及ぼす台木と着果数の影響〔英文〕
- 35茶樹の根群に関する栽培学的研究 : 第11報 根の吸収力の違いが蒸散流量に及ぼす影響
- 83 ホウレンソウの乾物生産および光合成に及ぼす高温の影響
- 茶樹の根群に関する栽培学的研究 : 第6報 断根強度が根の再生に及ぼす影響
- 63 茶樹の根群に対する栽培学的研究 : 第10報 断根時の地上部切除と根の再生
- 水だし煎茶における浸出時間と嗜好性および溶出成分量との関係
- 27 チャの試料採取位置の違いにおける諸問題 : γ線緩照射による突然変異体の選抜に関連して
- チャの根の生長における重力屈性反応
- 16 多数試料の分析を目的としたチャ葉中カテキン類の抽出方法(一般講演)(日本作物学会関東支部第93回講演会)
- チャ挿し木苗における不定根伸長方向の品種間差異