歯列咬合接触に与える歯への加圧の影響
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概要
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咬みしめやタッピングによる咬合接触診査を行う際, 当該歯には垂直的な荷重が加わる. その結果, 歯の変位が起こり咬合接触状態が変化することが考えられる. 歯が変位している状態では, 咬頭嵌合位における適正な咬合接触状態を得ることができない. 従来, 加圧による歯の変位に関する報告は多いが, 加圧後の歯の動態を咬合接触状態の変化としてかつ経時的にとらえた報告は少ない. 本研究では, 健常有歯顎者の上顎左側第一大臼歯を被験歯とし, 3種の加圧条件下での加圧後の歯の動態を add画像法を用いて咬頭嵌合位における咬合接触面積の変化としてとらえることを試みた. その結果, 1) add画像法によって, 加圧後の歯の経時的な動態を咬頭嵌合位における咬合接触面積の変化としてとらえることができた. 2) 被験歯に加圧を行っても, 被験歯以外の咬合接触状態に変化はなかった. 3) 1分間の最大咬みしめおよび5分間の中等度咬みしめでの被験歯への加圧条件では, 咬みしめ強度が30% MVCにおいて加圧終了直後の被験歯の咬合接触面積は, 加圧前に比べて有意に減少した. 4) その後, 加圧終了2分後までに有意に増加した. そして, 加圧終了2分後以降の咬合接触面積は, 加圧前とほぼ同じにまで回復した. 5) 1分間の中等度咬みしめでの加圧後の被験歯の咬合接触面積は, 加圧前に比べて統計学的有意差は認められなかった. 以上のことから, 歯列内に局所的な荷重が加わった場合, シリコーン・ブラック法を用いた咬合診査では, 咬みしめ強度が強すぎないように注意し, かつ再度診査を行うにあたっては, 十分な時間間隔をおく必要があることがわかった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1996-06-25
著者
-
森川 正章
大阪歯大・歯科補綴第2
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森川 正章
大阪歯科大学歯科補綴学業2講座
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村田 洋一
大阪歯科大学歯科補綴学第2講座
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村田 洋一
大阪歯大・歯科補綴第2
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村田 洋一
大阪歯科大学歯科補綴学業2講座
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村田 洋一
大阪歯科大学 大学院
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