下顎位の保持にかかわる外側翼突筋下頭の筋活動について
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概要
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本研究は, 下顎位を実験的に水平および垂直方向に変化させたときの顆頭点および切歯点の移動量と, それに対応する外側翼突筋下頭の筋活動との関連を定量的に分析することによって, 下顎位の保持にかかわる外側翼突下頭の働きを明らかにすることを目的とした. 被験者に, 前方運動路, 対側側方運動路および習慣的開閉口路上で任意に下顎位を保持させた (実験1), また, 咬頭嵌合位を基準として下顎位を任意に変化させ保持させた (実験2). そのとき, 切歯点の移動量は MKG K6 システムを用いて, 顆頭点の移動量は顆頭部外側に設置した近赤外線発光ダイオードと半導体位置センサを用いて, また, 外側翼突筋下頭筋活動量は同心型針電極を用いて口内法で測定し, 分析を行った. その結果, 以下の結論を得た. 1) 前方運動路, 対側側方運動路および習慣的開閉口運動路に沿って段階的に下顎位を保持したとき, 顆頭点ならびに切歯点の移動量が増加するに従って, 外側翼突筋下頭筋活動量は1%の危険率で有意な上昇を示した. 2) 移動量増加に伴う外側翼突筋下頭筋活動量の上昇傾向は, 運動路間で比較すると顆頭点では有意な差は認められなかった. 3) 咬頭嵌合位を基準として下顎位を保持させたところ, 下顎が変位しているにもかかわらず外側翼突筋下頭に有意な活動が認められない範囲が存在した. その範囲は, 顆頭点では咬頭嵌合位よりも前方に 1.25mm, 下方に 0.96mm, 移動量は 1.61mm であった. すなわち, 下顎保持時の外側翼突筋下頭の筋活動は運動の種類に影響を受けず, その下顎位での顆頭点移動量と密接な関係をもつことが明らかとなった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1994-10-25
著者
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