下顎後退時における下顎位について

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種々の方法を用いて下顎後退位をとらせ, そのときの切歯点と顆頭点の位置について検討を加え, 運動方法と下顎位の関係を明らかにすることを目的とした. 被験者に, 能動的後方運動として, RI (咬頭嵌合位から歯牙接触を伴った被験者の筋力による後方運動), RII (咬頭嵌合位から歯牙接触を伴わない被験者の筋力による後方運動), RIII (下顎安静位から歯牙接触を伴わない被験者の筋力による後方運動) および, 受動的後方運動としてPR (術者が下顎頭部に指をあてがって誘導した後方運動) の4方法にて後退位をとらせた. そのとき, 切歯点の運動は下顎運動描記装置MKG K6システムを用い, また顆頭点の運動は顆頭部外側に設置した近赤外線発光ダイオードと半導体位置センサを用い, 測定し分析を行った. その結果以下の結論を得た. 1. すべての被験者において後方運動が認められ, 咬頭嵌合位と後方歯牙接触位とは一致せず, その後方運動様式は開口様運動であった. 2. 能動的に咬頭嵌合位から歯牙接触を伴った後方運動を行わせたとき, 咬頭嵌合位から後方歯牙接触位までの移動距離の平均は, 切歯点で0.94mm, 顆頭点で0.62mmであった. 3. 能動的に得られる後退位における顆頭点の位置は, 後退位にいたる運動方法によって差は認められなかった. 4. 受動的に誘導された後退位においては, 咬頭嵌合位から後退位までの顆頭点の移動距離は1.04mmであり, 能動的に得られる後退位に比べてより後方に位置していた. 5. 受動的な後方運動は, 能動的な後方運動に比べて回転要素が小さかった.
大阪歯科学会の論文
1991-10-25

下顎後退時における下顎位について

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