土壌から単離した Agrobacterium sp. および Acinetobacter sp. による殺虫剤サリチオンの立体選択的代謝
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概要
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牛久畑地土壌から単離したAgrobacterium sp.(B-7, B-15およびB-17)とAcinetobacter sp. (B-60)による(R)_P体および(S)_P体のサリチオン(2-メトキシ-4H-1, 3, 2-ベンゾジオキサホスホリン-2-スルフィド)の代謝について, フェニル環の炭素を^<14>Cで標識した化合物を用いて比較検討した.B-7は(S)_P体を(R)_P体よりも3.1倍速く分解し, その立体選択性はP-O-アリールおよびP-O-アラルキル結合の立体選択的開裂に起因していた.B-15は両光学異性体を同様な速度および代謝様式で分解した.B-17は(S)_P体を(R)_P体よりも3.5倍速く分解し, 両光学異性体間で異なる代謝様式を示した.(S)_P体ではP-O-アリールおよびP-O-アラルキル結合の開裂が主代謝経路であったのに対し, (R)_P体では脱メチル化が主代謝経路であった.B-60は両光学異性体をすみやかに分解し, それらの代謝経路における立体特異性は, B-17の場合とは逆であった.また, いずれの分解菌においてもエピマー化は認められなかった.分解菌によるサリチオン光学異性体の代謝における立体選択性は, 土壌中におけるサリチオンの立体選択的な分解の結果とよく一致した.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-02-20
著者
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井藤 和人
Environmental Health Science Laboratory, Sumitomo Chemical Co., Ltd.
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井藤 和人
Environmental Health Science Laboratory Sumitomo Chemical Co., Ltd.
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