酸化的および還元的土壌条件下の湛水土壌中におけるジフェニルエーテル系除草剤 CNP の分解
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概要
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室内実験により, 好気的および嫌気的湛水土壌中におけるCNPの分解について, ベンゼン環のそれぞれを標識した^<14>C-CNPを用いて研究した.CNPは, 好気的(酸化的)湛水土壌中では短い休止期間ののち分解し, 半減期は6∿7日であった.嫌気的(還元的)湛水土壌中では急速に分解し, 半減期は1∿2日であった.tlcによって同定された分解生成物は, CNPのニトロ基がアミノ基, アセチルアミノ基, 水酸基で置換された化合物および2, 4, 6-トリクロルフェノール, p-ニトロフェノール, p-アミノフェノールなどであった.アセトン抽出液中の分解物としてはアセチルアミノ体が最も多量に生成し, 還元的湛水土壌中では, ホルミルアミノ体と推定される微量の未同定化合物との合量で添加した放射能の15%に達した.アセトン抽出物には集積する分解生成物はみられなかった.有機溶媒で抽出できない土壌残渣画分の放射能は添加量の35∿40%に達したが, 大部分は土壌粒子に強く結合したCNPアミノ体と推定した.アミノ体が縮合して生成するアゾおよびアゾキシ化合物などは検出されなかった.最終的にはベンゼン環も開裂し, ^<14>CO_2の生成がみられるが, 20日間の実験期間中の^<14>CO_2の生成は少なかった.CNPの減衰は還元的条件下のほうが速いが, ^<14>CO_2の生成は酸化的条件下のほうが速かった.
- 1979-05-20
著者
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鍬塚 昭三
Department Of Agricultural Chemistry Tokyo University Of Agriculture
-
小山田 正美
Laboratory Of Soil Science Faculty Of Agriculture Nagoya University
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小山田 正美
Visiting researcher from Agricultural Research Laboratory, Mitsui Toatsu Chemicals Inc.
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小山田 正美
三井東圧化学(株)ライフサイエンス研究所
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