進行消化器癌における免疫療法 : 担癌患者の5年生存例を中心に (<特集>第21回日消外総会シンポII 進行消化器癌に対する集学的治療)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
昭和47年12月,非治癒期待手術を余儀なくされた直腸癌患者の前腕10カ所に合計100mgのBCG生菌を皮内接種したところ,1カ月後に手術創から見える鶏卵大の腫瘤に縮少を認め,さらに3カ月後にはその腫瘤が全く消失してしまった.BCG接種前にこの患者は,食欲不振全身倦怠感を訴え顔色も不良であったが腫瘤の消褪とともに自覚症状も改善され,顔色も良くなってきた.一方,BCG生菌による局所反応として前腕ははれ上がり,10カ所の接種局所には深い潰瘍を形成しており,患者は入浴できないという不満を訴えていた.この患者がわれわれが日本で最初に行ったBCG免疫療法の症例である.続いて昭和48年度に98例の各種進行癌患者にBCG免疫療法を施行した.これらの症例に対してツベルクリン皮膚反応,末梢血T,B細胞をはじめとする各種免疫学的パラメーターを測定して,生体の免疫応答能を推し測るとともに,遺残腫瘤発育の状態を観察しながら,いわゆる臨床的な"かん"に頼って1〜100mgのBCG生菌を接種するという手探りの状態からわれわれのBCG免疫療法はスタートしたのである.その2,3年後に日本の臨床医の中に癌免疫療法という言葉が定着し,このころより溶連菌製剤(OK-432),カワラタケから抽出した蛋白多糖体,PSK,また阪大,山村博士グループのBCG-CWSさらにはNocardia-CWSなどの免疫賦活剤が次々と開発されたことが,癌免疫療法の発展に拍車をかけたのである.今回は,われわれがBCG免疫療法を開始して10年になるので,その一区切として癌免疫療法の実際と,とくに担癌のまま5年以上生存したわずかな症例に焦点をあてて紹介し,消化器進行癌の免疫療法を論じてみたい.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1983-10-01
著者
-
伊藤 英明
産業医科大学第一外科
-
伊藤 英明
北九州市立医療センター 外科
-
木村 豊
NTT西日本大阪病院外科
-
田中 二郎
九州大学第1外科
-
山本 裕士
佐賀医科大学外科
-
片野 光男
佐賀医科大学外科
-
片野 光男
佐賀医科大学外科学教室
-
鳥巣 要道
九州大学第一外科
-
大里 敬一
産業医科大学第一外科
-
豊田 清一
九州大学第一外科
-
鳥巣 要道
中間市立病院
-
岩崎 一教
九州大学第1外科
-
坂田 正毅
九州大学第1外科
-
宮原 哲郎
九州大学第1外科
-
伊藤 英明
九州大学第1外科
-
武末 昌治
木村外科病院
-
木村 豊
木村外科病院
-
西村 正也
産業医科大学
-
山本 裕士
Saga Social Insurance Hospital
-
Katano M
Departmet Of Surgery Saga Medical School
-
大里 敬一
産業医科大学病院
-
大里 敬一
産業医科大学長
-
岩崎 一教
いわさき肛門クリニック
-
西村 正也
産業医科大学病院
-
鳥巣 要道
九州大学第1外科
-
伊藤 英明
九大第一外科
-
宮原 哲郎
宇佐・高田医師会病院
-
岩崎 一教
九州大学医学部第一外科
-
坂田 正毅
九州大学第一内科
関連論文
- 41.植物性フラボノイドのノビレチンによるカテコールアミン動態への影響(第27回産業医科大学学会総会 学術講演会記録)
- 活性化プロテインC (APC)による肝内移植膵島生着改善効果と,その解析
- 35.ウシ副腎髄質細胞における、ニコチン長期処理によるノルエピネフリントランスポーター活性への影響(第26回産業医科大学学会総会 学術講演会記録)
- 3-7-13 喫煙によるノルエピネフリントランスポーター活性への影響(代謝,口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- 36.ウシ副腎髄質細胞における、カテコールアミン分泌及び生合成に対する蜜柑果皮成分ノビレチンの効果(第26回産業医科大学学会総会 学術講演会記録)
- 消化器外科領域の敗血症症例における晩期致死性メディエータHMGB-1の検討(侵襲3, 第60回日本消化器外科学会総会)
- 手術侵襲後の精神障害(いわゆる術後せん妄)の発症機序の解明の試み
- SF-042-2 肝細胞癌での血管新生における組織因子(Tissue Factor)の果たす役割
- PP-1-369 肝細胞癌における組織因子発現と血管新生
- OP-3-018 肝癌組織におけるUrinary Trypsin Inhibitor発現の意義
- 肝癌におけるMidkine発現の意義
- PP1501 敗血症の治療における特異的活性化第X因子阻害剤の有効性について
- P-136 肝細胞癌における組織因子発現と血管新生との関連
- 81 長期非再発 Crohn 病症例の検討(第37回日本消化器外科学会総会)
- 189 Crohn 病の切除範囲と Quality of Life : 5年以上経過症例における検討(第36回日本消化器外科学会総会)
- 大腸内視鏡検査で診断した吻合部潰瘍による胃結腸瘻の1例
- ラット1, 2-dimethylhydrazine (DMH) 誘発大腸癌モデルにおける熟成ニンニク抽出物 (aged garlic extract : AGE) の発癌抑制効果(第105回日本外科学会定期学術集会)
- 示II-285 経肛門的結腸肛門管吻合を施行したsm癌合併広範囲腺管絨毛腺腫の2例
- 進行消化器癌における免疫療法 : 担癌患者の5年生存例を中心に (第21回日消外総会シンポII 進行消化器癌に対する集学的治療)
- PP205 集学的治療が著効した骨盤内原発のHemangiopericytomaの一例
- サルモネラを起炎菌とした小児急性無石胆嚢炎の1例
- 233. 家族性ポリポージスに対する小児期予防的結腸全摘の適応について(第6回 日本消化器外科学会大会記録(その2))
- 70 直接胆石溶解剤 Capmul 8210 による総胆管遺残結石症の治験例(第13回日本消化器外科学会総会)
- 食道癌におけるリンパ管新生の解析
- hnRNP A1発現は大腸癌の予後規定因子もしくは細胞増殖マーカーとなるか
- 大腸癌におけるlymphangiogenesisとlymphatic vessel invasionの解析
- 小腸間膜原発paragangliomaの1例
- Tailgut cyst の1手術例
- 肝硬変症例に対する肝切除術時の脾臓摘出術併施の効果(肝・胆・膵45, 第60回日本消化器外科学会総会)
- 胃癌におけるPyNPase, DPD値測定の意義(食道・胃・十二指腸6, 第60回日本消化器外科学会総会)
- 当科における虫垂粘液嚢腫手術症例の検討 : 腹腔鏡下手術の適応について(第60回日本消化器外科学会定期学術総会)
- 胃癌におけるIL12陽性細胞発現と予後との相関(第105回日本外科学会定期学術集会)
- 当科における術後肺塞栓症に対する取り組み(第105回日本外科学会定期学術集会)
- PPS-3-260 膵膿瘍で発症した放射線誘発と思われる若年性脾彎曲部結腸癌の一例(大腸症例5)
- PitavastatinはアンジオテンシンII受容体拮抗薬Candesartanによる肝線維化抑制効果を増強する
- II-101 ヒト結腸癌腹膜転移巣由来細胞株(PMF-ko14)樹立の試みと性状解析
- 歯科医に発症した非クロストリジウム性ガス壊疽の1例
- 非反回下喉頭神経の二例 : 迷走神経からの分岐レベルに関して
- 壊死型虚血性大腸炎における全結腸壊死と限局性壊死の比較検討
- PP-2-393 ヒト胃癌組織におけるGalNAc-T3,MUC1の免疫組織学的検討
- PP-1-324 壊死型虚血性大腸炎症例における全結腸壊死と限局性壊死の予後に関する比較検討
- 大腸癌における血漿VEGF濃度と組織VEGF免疫染色との相関関係について
- 胃癌組織におけるCEA及びGalNAc-T3発現のcombination assayと予後との検討
- 大腸癌におけるTumor associated macrophage(TAM)発現の意義
- PP318059 腹腔鏡補助下幽門側胃切除術における膵損傷対策 : 右胃大網動脈根部処理時のpit fall
- PP317050 当科におけるGastrointestinal stromal tumor (GIST)手術症例の検討
- PP217005 胃癌症例における予後因子としてのGalNAc-T3発現の意義
- PP107030 高い転移能を有する結腸癌樹立細胞株(PMF-ko14)の解析
- PP1028 合成レチノイドTAC-101による大腸発癌予防効果の検討
- PP942 GalNAc-T3の胃癌予後因子としての有用性の検討
- PP408 肝癌細胞株でのGap junctionを介する細胞間コミュニケーションの制御
- 15.合成レチノイドTAC-101の大腸発癌予防効果メカニズムの解明
- ヒト結腸癌由来細胞株(PMF-ko14)樹立の試みと細胞表面抗原解析・モデル作成
- ラット大腸癌肝転移モデルにおける肝転移巣のdynamic MRI(Magnetic resonance imaging)による観察
- 敗血症における活性化好中球の新機能 : 外因系凝固開始蛋白:組織因子の発現
- A1-14 スパイラルCTによる短絡路の立体再構築を行った2例の肝内門脈肝静脈短絡症(第47回日本消化器外科学会総会)
- 示-431 消化管に限局した小腸神経節神経腫の1例(第45回日本消化器外科学会総会)
- 胃癌切除症例におけるMidkine発現の免疫組織学的検討
- 大腸癌症例におけるhnRNP A1発現の臨床病理学的検討(第105回日本外科学会定期学術集会)
- PS-194-4 大腸癌手術症例におけるCD83陽性成熟樹状細胞の免疫組織化学的検討
- PS-115-4 hnRNP A1発現はヒト大腸癌組織において細胞増増殖マーカーとなる
- 大腸癌手術症例におけるIL-12の免疫組織化学的検討
- 胃癌組織におけるGalNAc-T3,CA19-9発現の免疫組織学的検討
- 大腸癌におけるS-100蛋白陽性細胞発現の意義
- 17.大腸癌患者における血漿中VEGF測定の意義
- ヒト大腸癌におけるGalNAc-T3発現は新しい予後マーカーとなる
- PP1855 胃癌におけるGalNAc-T3発現の免疫組織学的検討
- PP596 ヒト大腸癌におけるGalNAc-T3発現は新しい予後マーカーとなる
- SF19c-3 ヒト大腸癌におけるGalNacT3発現は新しい予後マーカーとなる
- 腸重積にて発見されたBauhin弁上の悪性リンパ腫の1例
- 高齢者食道癌の放射線治療成績-75歳以上高齢者と非高齢者との比較検討を中心に-
- 22.大腸癌細胞株に対する新規合成レチノイドの影響(第21回産業医科大学学会総会学術講演)
- PC-1-117 直腸内分泌細胞癌と直腸中分化型腺癌の多重癌の1例
- PP1384 小腸原発悪性リンパ腫手術症例の検討
- 17. レチノイドのラット大腸癌に及ぼす影響とラット大腸癌の肝転移巣のMRI (Magnetic resonance imaging)による観察 (第16回産業医科大学学会総会学術講演会記録)
- 示I-104 陥凹型早期十二指腸癌の一例
- 示I-236 直腸悪性リンパ腫手術症例の検討(第52回日本消化器外科学会総会)
- II-21 残胃の癌の臨床的検討 : 胃切除後における残胃の発癌リスクとその予防
- 残胃の癌の臨床的検討 : 胃切除後における残胃の発癌リスクとその予防
- H1-3 転移能の異なる大腸癌細胞株における vitro での転移・浸潤能の検討(第47回日本消化器外科学会総会)
- ラット実験腸発癌における発癌剤の比較およびオルニチン脱炭酸酵素活性の意義
- 十二指腸直接浸潤をきたした腸間膜リンパ節結核の1例
- 3-P1-52 高次脳機能障害患者の社会的行動障害と心理的プロフィールに関する検討(頭部外傷・高次脳機能障害評価1,ポスター,一般演題,実学としてのリハビリテーションの継承と発展,第44回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- N-ニトロソジメチルアミンによる肝癌の発生に於ける発癌耐性DRHラットとその親株呑竜ラットとの間での顕著な差異
- 大腸癌におけるIL-12産生細胞と抗原提示細胞の関係について(第105回日本外科学会定期学術集会)
- PPB-3-117 インターフェロン治療によりC型肝炎ウイルス陰性化後に発症した肝細胞癌5例の検討(肝症例3)
- PPS-2-114 当科における胸腔鏡補助下食道切除術の検討(食道鏡視下手術)
- 285 同時性大腸多発癌の病巣数に着目した臨床病理学的検討
- 示II-421 上行結腸癌に合併した回腸MALTリンパ腫の一例(第52回日本消化器外科学会総会)
- 23.中国における日本住血吸虫症の疫学的研究
- 最近経験せる管前型大動脈絞窄症の1例 : 第22回日本循環器学会九州地方会
- 1-5-8 ポリオ罹患者の長期予後調査(第8報) : 等運動性筋力の経年的評価(ポリオ,口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- 2-P2-21 ポリオ罹患者の長期予後調査(第7報) : Work Ability Indexを用いた労働能力の評価(神経筋疾患・ポリオ,ポスター,一般演題,実学としてのリハビリテーションの継承と発展,第44回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- PPS-1-243 大腸癌における抗原提示細胞とその影響について(大腸分子生物1)
- PPS-1-021 胃癌におけるIL-12陽性細胞発現の意義(胃悪性度1)
- 手術を施行した十二指腸GIST(gastrointestinal stromal tumor)の2例
- PP-1-328 腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した遺伝性球状赤血球症の3例
- 1341 血友病A患者に盲腸粘膜下血腫が先進部となり発症した成人腸重積症の一例
- 24. テロメラーゼ活性を指標とした良性・悪性腫瘍の分子生物学的判定 (第14回産業医科大学学会総会学術講演会記録)
- 25. Telomerase活性を指標とした良性・悪性腫瘍の分子生物学的判定 (第13回産業医科大学学会総会学術講演会記録)