進行胃癌に対する集学的治療 : 切除不能例に対する動注化学療法を中心に (<特集>第21回日消外総会シンポII 進行消化器癌に対する集学的治療)
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概要
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診断学の進歩により,手術のみで根治の期待できるstage Iの胃癌症例が増加しているものの,現在なお臨床で取扱う胃癌の多くはstage II以上の進行した症例である.これら進行胃癌症例では,たとえ肉眼的に治癒切除が行われても,後に再発する例が多い.教室では10数年来,進行胃癌に対し次のような治療方針をとっている.治癒切除例に対しては再発防止を目的として,術後adjuvant chemotherapyを行ってきている.この効果の厳正な評価には,小数例による検討では困難なことから,昭和40年から厚生省,今永班「癌術後補助化学療法に関する研究」に参加してきた.その一次方式はMitomycin C 0.6mg/kgを週2回,総量40mg投与するもので,全症例の相対生存率において術後3,4年目,中でもstage IIでは3年以降でP<0.01の有意な生存率の向上が確認された.この成績は他に先がけた画期的研究であり,その後種々のadjuvant therapyの検討が全国レベルで繰り広げられている.一方,切除不能胃癌や絶対非治癒切除例には,根治は望みえなくとも延命と社会復帰をはかるため,可能な限りの病巣切除や通過障害除去などの補助手術,長期の動注化学療法による強力な寛解導入と5-FU系薬剤の長期投与を加えた維持療法,生体の免疫能保持のための免疫賦活剤投与,高カロリー輸液による栄養管理や感染防禦などの支持療法からなる集学的治療を行っている.本論文では,主として教室で取扱った切除不能進行胃癌の治療法別対比成績について述べるとともに,その効果を高める背景要因として腫瘍・薬剤相関の基礎的検討が重要である点にも言及する.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1983-10-01
著者
-
田口 鉄男
大阪大学微生物病研究所附属病院外科
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藤田 昌英
大阪大学微生物病研究所附属病院外科
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藤田 昌英
大阪大学微生物病研究所付属病院外科
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藤田 昌英
阪本胃腸外科クリニック
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田口 鉄男
大阪大学微生物病研究所附属病院 外科
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藤田 昌英
大阪大学微生物学研究所外科
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