幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後にみられた早期胃癌の1例

概要

論文の詳細を見る
幽門輪温存膵頭十二指腸切除(以下,PpPD)術後に発生した早期胃癌の1例を経験したので報告する.症例は72歳の男性.4年前に膵頭部癌(mucinous cystadenocarcinoma,n0)に対してPpPDを当科で受ける.1998年6月,経過観察目的の胃内視鏡検査にて胃角部後壁に膵胃吻合を認め,その約2cm肛側の幽門部大彎にIIa+IIc病変を認めた(生検にてGroup 5).血液検査上,腫瘍マーカーは正常であり,術前のCT・USでは肝転移やリンパ節腫脹は認めなかった.術中所見上,癌腫は幽門部に母指頭大に触知した.癌腫と膵胃吻合の距離より膵胃吻合を温存して胃切除が可能であると判断した.幽門側胃切除術を施行し,再建はB-II再建にBraun吻合を付加した.癌腫は5×3cmのIIa+IIc病変で,病理所見はtub2,sm,n0,ly2,v0,ow(-),aw(-),stage Ia,CurAであった.術後経過は問題なく第37病日軽快退院した.術後3年3か月の現在,無再発生存中である.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
2002-03-01