直腸癌に対する側方リンパ節郭清の適応の検討

概要

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[目的]1990年に教室で定めた直腸癌の側方リンパ節郭清(以下, 側方郭清と略記)の適応の妥当性について検証するとともに, 側方郭清の意義について検討した.[方法]1981年から1998年までに治癒切除が行われた下部直腸癌119例を対象とし, 臨床病理学的因子と治療成績との関連についてretrospective studyから評価した.[結果]対象の内訳は側方郭清群60例, 非郭清群59例であった.後者は前者に比べ進行例が少なく予後が有意に良好であったが, 多変量解析では側方郭清は予後との間に有意な相関を示さなかった.局所再発は郭清群が11.7%(7/60), 非郭清群が1.7%(1/59)であったが有意差は認めなかった.側方転移陽性例の術後再発率は90.0%(9/10)と高く, 全例が血行性転移であり, 5年生存率は13.1%と低率であった.[考察]側方郭清による局所再発予防の観点から, 教室の側方郭清の適応は妥当と考えられた.しかし, 側方郭清は予後の向上につながらず, 側方転移が疑われる進行下部直腸癌に対しては, quality of life(以下, QOLと略記)を考慮した集学的補助療法の検討が必要である.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
2001-03-01