80歳以上高齢者大腸癌に対するリンパ節郭清・他臓器合併切除の意義(<特集>第47回日消外会総会シンポ2・高齢者癌手術における拡大切除の限界)

概要

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高齢者大腸癌に対するリンパ節郭清と他臓器合併切除の意義を明らかにするため,1984年〜1994年に施行された80歳以上の進行大腸癌61例の手術成績を,70歳代160例のそれと比較検討した.切除例でのD_2・D_3のリンパ節郭清は80歳以上61%,70歳代72%であった(NS).両群ともリンパ節郭清度は術後重症合併症やQOLの低下と関連性が認めなかった.他臓器合併切除例では80歳以上の6例中1例に術死がみられた.根治度A・B症例の郭清度別(D_2・_D3vs.D_1・D_0)平均生存期間(年)は,70歳代;5.4vs.7.1(p<0.05),80〜84歳;6.8vs.2.9(NS),85歳以上(超高齢群);3.1vs.3.1(NS)であった.80歳以上の高齢者大腸癌における他臓器合併切除には慎重な適応で望むべきだが,D_2・D_3のリンパ節郭清は安全で十分実行可能である.ただし,平均余命が5〜6年に限られた85歳以上の超高齢者に対するリンパ節郭清は生存期間の延長に寄与しない可能性がある.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1996-10-01