無痛性重症急性膵炎の1例
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概要
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経過中に全く腹痛を欠如した重症急性膵炎の1例を経験したので報告する.患者は45歳の男性で悪心嘔吐黄え疸を主訴に入院した.入院時の血液生化学検査,computed tomography(CT)にて重症急性膵炎と診断したが,腹痛は全く認めなかった.直ちに蛋白分解酵素阻害剤投与,持続血液濾過透析などを行いつつ厳重な全身管理を行った.しかし急激に血小板が減少し,disseminated intravascular coagulation (DIC)傾向を示すようになり,感染の合併も疑われたため,第10病日に手術を施行した.膵臓はほぼ全体が壊死に陥り,後腹膜腔にも広範に壊死が広がっており,可能な限り壊死組織を除去した.術後はmethicillin resistant staphylococcus aureus(MRSA)肺炎,腹腔内膿瘍の治療に難渋したが徐々に改善し,術後第105病日に退院となった.本症では腹痛を欠如するため膵炎の早期診断治療が遅れ,予後不良となる場合が多いので注意を要すると思われた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1996-01-01
著者
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