合併症,体重変化および予後からみた胃癌D4郭清の適応(<特集>第44回日消外会総会特別シンポ1 : 拡大リンパ節郭清の功罪)

概要

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初発胃癌切除症例859例を対象として,郭清度別に合併症,体重減少,出血量,手術時間,在院死,累積生存率を比較した.D4郭清の合併症の頻度は21.8%で他の郭清の倍の頻度であった.出血量は胃全摘で1,283g,幽門側亜全摘例で992gと多かった.手術時間も約1時間は長かった.術後の体重減少は幽門側胃切除で胃全摘に近い体重減少を認めたが有意差はなかった.在院死はD4:5.0%,D3:0.8%,D1-2:0.2%とD4に高頻度に認められた.各stage別に累積生存率を算出,比較したところ,stage II以上でD4の予後が最も良好であった.D4の累積5年生存率はstage IIIa(59.5%),stage IVa(50.5%)で有意に良好であった(p<0.05).stage IVbではD4郭清例で11.5%を得たのみで,他の郭清では5年生存例は認められなかった.これらのことからD4郭清の適応はstage IIIa以上と考えられた.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1995-04-01