食道粘膜癌の診断と治療方針 : 特に内視鏡的粘膜切除術の適応について
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概要
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食道粘膜癌17例25病巣, および微少な sm 浸潤を示す sm 癌 (sm1 癌) 6例, 明らかな sm 層浸潤のある sm 癌 (sm2, 3 癌) で長径 2cm 以下の8例の肉眼型, 病理学的因子を検討し治療法について考察した. 粘膜癌ではリンパ節転移はなかったが, 粘膜筋板まで浸潤した mm 癌の7病巣では長径 2cm 以上の2病巣でリンパ管侵襲を, また sm1 癌では半数にリンパ節転移を認めた. 肉眼型では粘膜癌はすべて 0-II 型で, このうち 0-IIa 病変を伴った5例は 1pm 中層以上の浸潤を示したが, 隆起病巣の大きさは 1.3cm 以下, 高さは4例で 0.5mm 以下であった. 一方, sm1 癌では5例に隆起を認め, 長径は平均 2.7cm であった. 長径 2cm 以下の sm2, 3 癌では5例が 0-I 型, 2例が 0-III 型で, これらは mm 癌と識別可能であったが 0-II 型の病変も1例認められた. 以上より隆起を伴わない 0-II 型病変, 隆起を伴っていても 2cm 以下で高さが 0.5mm 程度のものは内視鏡的粘膜切除術が適応となり, その他の病変ではリンパ節郭清を伴う食道切除術が必要と思われた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1994-05-01
著者
-
井上 雅智
大阪大学第二外科
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松井 成生
市立西宮中央病院外科
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門脇 隆敏
多根総合病院外科
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森 武貞
大阪大学第2外科
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塩崎 均
大阪大学第2外科
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城戸 良弘
大阪大学第2外科
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嶋谷 薫
大阪大学第二外科
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田村 茂行
大阪大学第2外科
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岩沢 卓
大阪大学第2外科
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松井 成生
大阪大学第2外科
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岡 博史
大阪大学第二外科
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門脇 隆敏
大阪大学第2外科
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土岐 祐一郎
大阪大学第2外科
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辻仲 利政
大阪大学第2外科
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城戸 良弘
大阪大学大学院保健学
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岡 博史
守口敬任会病院
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