腹部外傷の診断 : 最近の進歩(<特集>第21回卒後教育セミナー・腹部外傷)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
腹部外傷の診断は1980年代におけるCTと超音波診断法(US)の爆発的普及により飛躍的な進歩を遂げた.腹腔内出血を証明する手段として以前は腹腔穿刺が主体であったが,最近ではUSがこれに取ってかわり主役の座を占めている.USは単に腹腔内出血を描出しうるばかりでなく,実質臓器損傷の部位と程度を非侵襲的に繰り返し検査できる利点を有する.またCTは実質臓器損傷の部位や程度をより客観的かつ明瞭に描出しうるばかりでなく腹腔内遊離ガス像や腹腔内出血をも証明しうるため,腹部外傷の診断に極めて有用である.診断的腹腔洗浄法(DPL)はfalse positiveが多いとの理由で本邦ではあまり高い評価を与えられていなかったが,筆者らは新しい判定基準を導入することによりこの問題点を克服した.多発外傷例ではとくに腹部外傷見落としの危険が高いためDPLの積極的使用が必要であると思われる.その他,血管造影法と経カテーテル動脈塞栓術(TAE),内視鏡検査,MRIなど種々の画像診断の進歩に伴い,実質臓器損傷のうちのかなりの部分を保存的に治療しうることが明らかとなった.しかしながら損傷状況を詳細に評価し不必要な開腹を避けることに固執するあまり,診断遅延を来すことのないよう細心の注意を払わなければならない.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1993-01-01
著者
関連論文
- S5-7 大腸損傷に対する選択的手術 : primary repair ?, exteriorization ? or colostomy ?(第43回日本消化器外科学会総会)
- 140 小児外傷の検討(第2報) : 死亡例を中心として
- 130 小児外傷の検討
- 臨床系大学院のあり方についての考察
- 鈍的四肢動脈損傷に対する血行再建施行例の検討
- 216 小児広範囲熱傷における初期輸液療法の検討
- 〔座談会〕大学病院と関連病院との関係は今後どうなる (特集 大学病院と関連病院との関係を問う)
- 178. 我々の経験した消化器外傷例の検討(第7回日本消化器外科学会大会)
- 多発外傷の有無からみた重症頭部外傷の転帰
- 外傷性遅発性小脳内血腫の検討
- 外傷性小脳内出血11例の検討
- 重症頭部外傷各種頭蓋内病態におけるdifferential ICPの検討
- 重症頭部外傷におけるICPと予後との相関
- 52 外傷に続発した壊疸性胆嚢炎の3症例(第20回日本消化器外科学会総会)
- 重症頭部外傷85例に行ったbarbituratesの大量負荷療法
- 気管狭窄 (気道・肺疾患救急治療のコツ) -- (疾患と病態による救急治療のコツ)
- 全身性炎症反応症候群における免疫グロブリン製剤投与意義の検討
- 重症熱傷症例における血中 Interleukin-10 値の検討 : 全身炎症の重症度指標として
- 東京都における重症熱傷集団発生への対応
- 早期手術における Frozen Allograft の意義
- 各種アルブミン製剤におけるα1-酸性糖たん白質含量
- 334 高令者腹部救急疾患の治療成績向上に寄与する因子の検討(第34回日本消化器外科学会総会)
- W-V-4 鈍的腹部外傷に対する腹腔洗浄法の有用性 : 特に腸管損傷の診断に関して(第34回日本消化器外科学会総会)
- 443 イレウス症状を示した小腸腫瘍の1例(第22回日本消化器外科学会総会)
- 457 日本医科大学救命救急センターにおける肝外傷の検討(第20回日本消化器外科学会総会)
- 腹部外傷 (プライマリ・ケアのための外傷患者救急治療のコツ(各論編))
- 多発外傷を伴った頭部外傷の検討
- 重症頭部外傷における低体温治療法時の循環・呼吸器合併症
- 持続脳表温度測定の意義
- 致死的急性硬膜下血腫の特徴および治療限界 : 減圧開頭術中に急性脳腫脹を来した症例から
- 14. 脳酸素代謝モニタリングが有用であった心原生ショックの1例(第9回千葉県MOF研究会)
- 84 食道静脈瘤に対する当科における最近3年間の手術成績の検討(第14回日本消化器外科学会総会)
- II-61 上部消化管病変に対する Esophago-gastro-bulboscope の意義(第6回日本消化器外科学会総会)
- 救命救急センターにおける腎損傷の臨床的検討
- 医師のストレス : 救命救急センターからの報告 : 第49回日本心身医学会関東地方会演題抄録
- 152 大腸穿孔5例の検討(第17回日本消化器外科学会総会)
- 熱傷後のIL-1治療が食細胞増殖能及ぼす影響
- マウス熱傷モデルにおける脾臓内食細胞の増殖能に関する検討
- マウス熱傷モデルにおける骨髄内食細胞の増殖能に関する検討
- 臓器提供施設の整備状況に関する研究
- 脳死判定基準--全国医学部・医科大学付属病院のアンケ-ト調査から
- 頭部外傷を伴う多発外傷 (多発外傷治療最近の進歩)
- 頭部外傷 (外傷の画像診断)
- 重症急性膵炎(1990年厚生省基準)における重症度評価の意義と早期手術の効果の検討
- 救急施設における薬物スクリーニング検査としてのEMIT法の有用性
- 腹部刺創における診断的腹腔洗浄法の有用性
- 227 消化管穿孔および破裂95症例の検討(第15回日本消化器外科学会総会)
- 東京都における重症熱傷集団発生への対応
- 重症敗血症に対する流血中エンドトキシン除去治療 : ポリミキシン固定化カラムによる血液灌流療法
- 腹部外傷の診断 : 最近の進歩(第21回卒後教育セミナー・腹部外傷)
- P-II-12 小児外傷例の検討 : 特に死因についての考察
- 腹部外傷 (外科医に必要なPhysical Signsのとり方) -- (急性腹症)
- 急性胆のう炎 (消化器疾患救急治療のコツ) -- (疾患と病態による救急治療のコツ)
- III-29 胃癌穿孔に対する手術例の検討(第3回日本消化器外科学会)
- 39. 胃癌の予後に関する研究 : とくに pm 癌を中心として(第8回日本消化器外科学会大会)
- 41. 早期胃癌の再発に関する検討(第5回日本消化器外科学会大会)
- 236. 術後消化性空腸潰瘍に対する再手術の問題点(第7回日本消化器外科学会総会)
- I-24 切除後の胃縫合不全による再手術の検討(第5回日本消化器外科学会総会)
- 腎外傷の手術適応について : 腎外傷の手術適応とその手術方法
- 大腸損傷に対する術式選択 -全層性損傷に対する risk factor よりの検討-
- 急性期脊髄損傷におけるメチルプレドニゾロン大量療法の臨床的意義
- 69 外傷性十二指腸潰瘍に対する pyloric exclusion の検討(第47回日本消化器外科学会総会)
- H2-23 Abdominal Compartment Syndrome を合併し、広範囲腸管壊死をきたした腹部鈍的外傷の一例(第47回日本消化器外科学会総会)
- 特別企画 プレホスピタル・ケアにおける救命率とメディカルコントロ-ル体制の確立
- M5-2 救命救急医療現場における気管支鏡の応用(内視鏡による救急患者の診断・治療の進歩)
- MSIV-7 救命救急医療における気管支鏡の応用(Critical care, emergency における気管支鏡の応用)
- 顔面骨骨折治療におけるBi-Temporal Approachの経験と適応
- 穿通性腎外傷に対する治療成績 : 腎温存手術の可能性
- 腹部外傷における緊急再手術例の検討と planned reoperation の意義
- 腎損傷の手術適応に関する臨床的研究 : とくに腎温存手術のための早期開腹適応について
- 救急医療体制 (医療の基本ABC--日本医師会生涯教育・基本的医療課題) -- (地域医療)
- 日常診療を見直す-6-救急医療を見直す
- 救急医学教育の重要性 (救急医療システム)
- 重症熱傷の管理
- 救急医療と医科器械
- Hypothalamic and Pituitary Function in Brain Death
- タイトル無し
- 重症クモ膜下出血超早期の病態と管理
- Auditory brainstem responses and cerebral perfusion pressure.