食道への組織学的進展形式からみた上部胃癌の臨床的特徴とリンパ節郭清に関する検討

概要

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食道進展胃癌48例を対象に,癌の食道先進部の形態を組織学的にexpansive type(20例)とinfiltrative type(28例)に分類し検討した.expansive typeはBorrmann 1型および2型,infiltrative typeは3型および4型が多く,特に後者では,非治癒因子合併頻度は67.9%と有意に高率であった.胸腔内リンパ節転移率は,expansive type 10.0%,infiltrative type 46.4%であり,(110)(111)は腹腔内リンパ節(8)(9)とほぼ同率で,(16)は,これよりやや高い転移率であった.infiltrative typeは治癒切除率が低く予後不良であるが,治癒切除となった例ではexpansive typeと差がなく,3年生存率は65.0%であった.infiltrative typeの予後は,主に腹膜転移に規定されており,非治癒因子合併例では胸腔内リンパ節郭清の意義は少ないが,治癒切除可能例では,開胸あるいは胸骨縦切開により,胸腔内リンパ節の系統的郭清と(16)の重点的郭清が必要である.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1990-08-01