電子ビーム穴あけ加工における加工穴の形成

概要

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本研究は電子ビームによる穴あけ過程をモデル化し, 数値的に予測することにより, 本加工の特性を求めようとするものである.本報告は, 穴あけ過程のモデルを作成し, 計算機により穴あけ加工のシミュレーションを行い実験結果と比較検討したものである.このモデルは, ビーム照射中の加工部の温度を差分法を用いて求め, その温度から溶融層の有無を調べ, 溶融層が形成された場合に, その一部分が除去され穴が形成されるとしている.この際, ビームの照射点は除去が進行すれば, 順次内部へ移動するようになっている.シミュレーションと実験結果を比較した結果, 銅, 軟鋼, モリブデンは, それぞれ穴深さ, 穴径, 穴形状などとよく一致する結果を得た(加工条件 : 加速電圧100kV, ビーム電流30mA, パルス幅0.1〜1.0ms).このように, 実際の加工がこのシミュレーションにより予測できることが分かった.また, 多重パルスによる加工での遅れ時間(除去が始まるまでに要する時間), 加工穴底付近の温度分布, 加工中の穴形状の変化などを調べることができた.
公益社団法人精密工学会の論文
1982-08-05