硬質材料に対する各種砥粒の摩耗特性 : 砥粒と被削材の適合性に関する研究(第9報)

概要

論文の詳細を見る
本研究はダイヤモンド砥粒、窒化けい素粒を含む6種類の砥粒についてSUJ2(焼入れ)、ステライト、フェライトおよびシリコン板に対するピン/円板型単粒摩耗実験を300〜1200m/minで行い、砥粒、円板による摩耗率の比較を行った。同時に走査型電顕による砥粒摩耗面の観察や摩耗粉のX線回折などにより摩耗形態・機構について考察した。その結果次のようなことがわかった。(1)SUJ2に対する摩耗率はA砥粒がダイヤモンド砥粒に次いで低く、窒化けい素粒は反対に最高となる。(2)ステライトに対する摩耗率はSUJ2に比べ4倍ほど高く、ZS砥粒に比べA砥粒の値は高くなる。(3)フェライトの場合の摩耗率はステライトよりも2倍程度に高く、砥粒間の序列は傾向としてSUJ2に類似する。又、摩耗面は一般には滑らかでフェライト微粒子のアブレージョンによる砥粒摩耗機構が考えられる。(4)シリコンの場合摩耗率は低いがフェライトの場合と同様の摩耗機構が考えられる。(5)SUJ2の場合の摩耗粉は砥粒にかかわらずFe_3O_4からなり、ステライトの場合は摩耗粉はCoである。
1980-03-05