オキイレコダニEuphthiracarus foveolatus Aoki, 1980は,E. cribrarius (Berlase, 1904)のシノニムに該当するのか?
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概要
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2種の近似種オキイレコダニEuphthiracarus foveolatusとE. cribrariusは現在のところ分布域は重なっていない.前者は,日本のみに生息し,後者は,アジアからヨーロッパにかけて広く分布しているが日本からの報告はない.近年,原記載の誤りが指摘され,これらの種の区別が疑問視されるようになった.また,新たに採集されたオキイレコダニE. foveolatusのいくつかの標本には変異が大きく,ヨーロッパから報告されているE. cribrariusと体長などの点で,重複が認められた.この報告では我々はE. foveolatusの変異を明確にすると共に,近似種E. cribrariusとの比較を相対的に行った.E. cribrariusは原産国(the type country)であるノルウエー産のものを用いた.いくつかの重複した形質があるにもかかわらず,日本産の標本とノルウエー産の標本は,2つの特徴から明確に区別できた.ひとつは生殖側毛の長さの比(ag_1/ag_2)である.E. foveolatusの値はE. cribrariusのものよりも5倍以上大きかったもう一方は,E. cribrariusにある3つの脚の毛がE. foveolatusで欠失していることである.1)第II脚の付節の名前の付けられなかった1本の歩脚毛,2)第III脚の膝節の歩脚毛ν', 3)第IV脚の膝節の歩脚毛ν'である.以上のことから,われわれはこれらの2種は区別でき,シノニムではないと考えている.
- 日本ダニ学会の論文
- 2003-11-25
著者
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