培養表皮ケラチノサイトの重金属に対する感受性に関する研究

概要

論文の詳細を見る
培養表皮ケラチノサイトの亜鉛・カドミウム・銅に対する感受性については詳細な報告がきわめて少ない。本研究では、培養表皮ケラチノサイトにカドミウム・銅・亜鉛のそれぞれ2種の塩化合物、および重クロム酸カリウムを濃度を段階的に変えて曝露し、その感受性について新生児由来および成人由来ケラチノサイトとの比較も含め検討した。また、最近市販されるようになった新しい細胞毒性アッセイ法であるTetracolor Oneアッセイの有用性についても、MTTおよびneutral redアッセイ法と比較検討した。CdSO_4、ZnSO_4、K_2Cr_2O_7についての3つのアッセイ法を比較すると、生存曲線はほぼ同様のパターンを描くことがわかった。またLD_<50>を比較するとZnSO_4およびK_2Cr_2O_7では、3つのアッセイ法間で統計的な差はなかったが、CdSO_4については、neutral redアッセイ法による値に有意の差があった。しかし総合的には、Tetracolor Oneアッセイは、従来良く用いられてきたMTT法やneutral red法と同様信頼性と再現性のあるアッセイ法であると思われた。生存曲線のパターンについては、Cd塩、Zn塩ではある濃度を超えると生存率に急峻な落ち込みが生じるのに対し、K_2Cr_2O_7ではなだらかなカーブを描いて生存率が落ちていくという差異があった。また、新生児由来ケラチノサイトと成人由来ケラチノサイトのLD_<50>の比較では、Cd化合物およびZn化合物において、新生児に比べ成人由来のケラチノサイトの方が感受性が高い傾向にあった。これらには、メタロチオネインが関与しているかもしれない。また、同一重金属ではその塩化合物間でLD_<50>には大きな差はなかった。本研究で得られたデータは、貴金属の皮膚障害についての今後の実験に、基礎データを与えるものと思われる。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01

培養表皮ケラチノサイトの重金属に対する感受性に関する研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク