1786年5〜6月のラクセンブルク宮殿における舞台公演 : 同時期のウイーン宮廷劇場のオペラ公演との関わりにおいて
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概要
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本稿は、1786年の5月から6月にかけてラクセンブルク宮殿で行われた舞台公演を取り上げ、同時期のウイーンの宮廷劇場におけるそれとの関係を、特にイタリア・オペラ、を中心に考察した。当時、ウイーンの宮廷劇場ではドイツ語演劇、イタリア・オペラ、ジングシュプールの3種類の公演が行われており、ラクセンブルク宮殿でもそれらが上演されている。しかしその回数には差があり、ドイツ語演劇が12回、イタリア・オペラが13回、舞台にかけられたのに対し、ジングシュピールは2回しか上演されなかった。ここに、宮廷劇場における上演日程からはうかがいない、ジャンルによる扱いの違いが明確に現れている。ところで、1786/87年のシーズンにおけるブルクの劇場のイタリア・オペラ公演は、モーツアルトの《フィガロの結婚》が初演されたことで注目されるが、このオペラの9回というシーズン中の上演回数は、86/87年の公演がとりわけ多くの演目をまんべんなく上演していたことと相関させて理解する必要がある。そして、そのような特徴を持つ上演日程が組まれた背景の1つとして、シーズンはじめにあったラクセンブルク宮殿における舞台公演を捉えることもできるのである。
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