モーツァルトの《劇場支配人》の19世紀における改作版 : シュナイダー版とヴォルツォーゲン版
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概要
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本稿では、モーツァルトの《劇場支配人》(1786)の19世紀における2つの改作版を取りあげて論じた。1845年に描かれたシュナイダーによる版は、モーツァルトやシカネーダーなど実在の人物が登場するなど、シュテファニーの書いたオリジナル版とはまったく別の物語となっており、音楽は、オリジナル版の番号曲に,モーツァルトの書いた別の4つの声楽作品も加えられて、全8曲が歌われる。それに対し、1872年頃に書かれたヴォルツォーゲンによる版は、基本的にはオリジナル版に基づきつつ、前半の劇中劇の演じられる場を大幅にカットしている。このように2つの版は極めて対照的であるが、オリジナル版にあった演劇としての側面を削り、モーツァルトの音楽を活かして《劇場支配人》をジングシュピールとして作り直そうとしている点において、それらは共通しているのである。
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