ゴマに関する研究 : IV. Sesamum angolense (n=16) × S. latifolium (n=16) より得られたF_1植物について

概要

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S. angolense及びS. latifoliumは外部形態に著しい差があり, 夫々第I群, 第II群に分類される種である。本実験においては, これら両種を構成する染色体間の相同性の有無を知るために交雑を行つた。その結果, 交配花数15花のうち8個の着〓を得, 23個体のF_1植物の発芽に成功した。即ち3.6%の雑種生成率となる。その外部形態は両親の中間で, 花冠の内壁にはangolense特有の2つの黄色斑, 下唇部にはlatifolium特有の赤紫色の線条がみとめられた。F_1の根端細胞において2n=32を算え, 又花粉母細胞の第1分裂中期においては1∿6個の2価染色体が出現し, そのモードは2_<II>+(28)_Iであつた。(32)_Iは総細胞数の8.5%, 3価染色体の出現は約17%であつた。これらの2価染色体は大部分末端で弛く接合しており, 極めて稀に両端接合したものも観察された。後期における遅滞染色体数は0∿7平均0.6個で, 往々3極を形成する。四分子期には2∿6分子がみとめられた。F_1の花粉は殆んど内容空虚で, 稔性は3%にすぎず, 開花後数日にして全部落〓, 戻し交雑しても種子は得られなかつた。この様に, 両種間には一応相同ゲノムの存在はないものと考えられ, 夫々第I群, 第II群に分類するのが妥当と考えられる。
神戸大学の論文