水稲茎葉中可溶糖含量の生育各時期における日変化について

概要

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本報文は, 稲体内可溶糖含量の日変化を追求する事によつて, 炭水化物特に糖の稲体生理機能に及ぼす影響並びに糖転流の状態を窺わんとしたもので, 得たる主な結果は次の如し。(1)水稲葉特に葉身中に主要なる可溶糖は全生育期を通じ蔗糖であつて, 且つ乾物量の日変化の大部分がこの蔗糖含量の変化に帰せられる。(2)葉身葉鞘中の蔗糖含量は本田初期及び分蘗期に多く成熟期に低下するが, その日変化は生育前期に最大で, 葉身葉鞘共に乾物当り約8%もの大差を示したが, 開花期以後はやや日変化小となり, 葉身にて約3%, 葉鞘では約1%であつた。(3)蔗糖含量の日変化の最高値は, 葉身では2p.m.なるも, 葉鞘ではやや遅れ6p.m.であつた。(4)還元糖の含量は葉身葉鞘共に蔗糖に比し著しく少ないが, 葉身では10a.m.が最高で, 日変化は全生育期を通じ同一傾向を示した。しかし葉鞘では分蘗期と幼穂形成期において日中一時低下する, 即ち午前と夜間が高い, 特異な日変化を示した。(5)節間中の可溶糖含量は葉身葉鞘に比し著しく多く, 成熟期に達してもなお頂葉着生節間には極めて多量の蔗糖(10∿12%)とかなりの還元糖(0.6∿1.0%)が存在した。
神戸大学の論文