南極観測用雪上車(KD60)の基本設計について
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概要
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本南極観測用雪上車は,南極内陸調査旅行に使用する目的で設計されたものであり,短期間に試作を完了する必要があるため,現在陸上自衛隊に装備されている61式大型雪上車を母体とし,これに必要な改修を加えたものである.全備重量約8.5t,接地圧0.20kg/cm^2,乗員数3名,車体はキャブオーバー型で,車室内に暖房装置,換気装置,寝台,炊事用具等をそなえ,また,観測に必要な機器を塔載できるようになっている.エンジンは標準状態で140PSで,3台のそり約8tをけん引する場合の常用速度は約5km/hである.設計にあたって最も配慮したものは,-60℃に及ぶ低温下,低地から4,000mに至る高地で使用可能なこと,走行距離約6,000km,旅行期間5ヵ月の連続使用に耐えうること等の苛酷な条件についての対策である.このため,機関過給機,車両使用材料等の選定,カタピラおよび懸架バネ等の耐久性,車体等の保温,暖房その他については,事情の許すかぎり試験研究を行ない,これらの資料および前回の観測時の実績等を基礎として,基本設計を行なった.なお,本雪上車は1965年1月末試作を終え,北海道において試験を行なう予定である.
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