汎発型尋常性白斑における各種治療予後と相関するLangerhans細胞動態
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概要
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汎発型尋常性白斑の病因として,自己免疫学的機序が強く疑われてきており,その一つの可能性として,抗原提示細胞であるLangerhans細胞の関与が示唆されているが,いまだはっきりした役割は解明されていない。今回,各種治療予後がLangerhans細胞の動態と明らかな相関を示すことを見出だしたので報告する。方法として, Langerhans細胞のL-dopa取り込み能を示すhistofluorescens法, ATPas巴法,OKlalやOKT6を用いた免疫組織化学法の4種のマーカーを用いて, 表皮肉のこれらマーカ一陽性Langerhans細胞の分布密度とその治療前後の変動を測定した。PUVAとステロイド外用療法に著効を示した8例では,病巣部Langerhans細胞の分布密度は同療法施行後に著減を示したが,同療法に難治であった8例では軽度の減少に留まった。さらに上記治療に著効を示さなかった症例に吸引水疱蓋表皮植皮療法を施行したところ,非進行期の病巣では,予後は良好で,植皮した正常皮膚の色素は充分保持され,周囲へも拡大した。その部の白斑表皮のLangerhans細胞の密度はPUVAやステロイド外用療法で著減を示した。逆に,進行期の病巣では予後は不良で,植皮した正常皮膚の色素は除々に消失し,白斑となった。また,その部のLangerhans細胞の密度は,向上治療後にも軽度の減少に留まった。以上のことから,汎発型尋常性白斑の発症進行機序に,Langerhans細胞が深く関わっており,治療においてはLangerhans細胞のantigen presentationの機能を抑制することが重要なポイントである推論された。
- 神戸大学の論文
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