実験的半月板損復過程における組織学的変化について

概要

論文の詳細を見る
半月板無血管領域は治癒しないと言われてきた。本実験はこの半月板無血管領域においてフィプリン糊と血管内皮細胞成長因子(以下ECGF) を用いて修復を試み,その組織学的変化について観察した。雑種成犬15匹, 30膝を使用し,内側半月板の無血管領域に直径2mmの円柱状の欠損を作成した。対象は3つに分類し,グループ1(以下G1)は欠損部に,なにも充填しなかった群。グループ2 (以下G2) はフィプリン糊のみを充填した群。グループ3(以下G3)はフィプリン糊とECGFを充填した群とした。観察期間は術後1週,2週,6週,12週、24週。欠損部の治癒率は,各週の平均でG1 ; 5%,G2 ; 76.6%,G3 ; 89.4%であった。組織所見では,1 -2週で,G2とG3において,血管に富むパンヌス様滑膜組織が半月一滑膜接合部より欠損部に向かって伸び(炎症期),2-6週では,欠損部内に線維性結合組織,血管及び円形細胞侵潤が多数認められた(肉芽形成期)。12週以降では,欠損部内の肉芽組織中に,線維軟骨細胞が認められるようになり,正常の半月板組織との境界部では互いの線維が入り交じり一体化している像も見られた(軟骨形成期)。G1では修復機転は全く観察されなかった。G3では,パンヌス様滑膜組織や血管の増生がより強く,肉芽組織の線維成分もより密であった。以上よりフィプリン糊及びECGFは半月板無血管領域の修復に有効で,その過程は上述の三期に分けられた。
神戸大学の論文

実験的半月板損復過程における組織学的変化について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク