高等学校における家庭科教育の実験教材について : 第1報 : 残留食品成分の簡易定性実験
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概要
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高等学校家庭科教育における実験教材の一つとして,食器類に残留する食品成分を簡便法による検出する定性実験に着目した。磁器,陶器,PP樹脂,木製まな板および合成樹脂また板を試料として用いデンプン,タンパク質,脂肪を食器の表面に付着させた後,洗浄を行った。スポンジに洗剤(現役および希釈液)をつけて食器,調理器具の全体をこすり洗った。すすぎは水または湯を使用し,洗剤容器に表示されている通り5秒間行った後,それぞれ,ヨウ素デンプン反応,ニンヒドリン反応,クルクミン反応を用いてこれらの成分の残留状態を確認した。3種類の食品成分の残留状態を見ると,デンプンは洗剤を使用しなくても食器への残留物はほとんどなかったが,脂肪,タンパク質は磁器以外の食器類では洗剤を使用しないで洗浄すると残留してしまうことがわかった。特に木製まな板は食品成分が最も残留しやすいため,そのことに注意して十分洗浄を行なうことが重要であると考えられた。また,脂肪が比較的残留しやすいことが示され,その除去には強い洗浄効果が求められた。このように,食器洗浄後の食器類や調理器具の残留食品成分を簡易方法によって測定することは,簡便で分かりやすく,結果に対する考察を通して得られる,食品衛生面の教育効果が高いと推察され,科学嫌いの生徒についても色の変化や呈色反応を利用した実験は非常に関心を持たれることから,高等学校家庭料理における実験教材として有効であると判断した。
- 2001-08-20
著者
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