パラチオン感受性および抵抗性ニカメイガ幼虫におけるパラチオンの代謝

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最近, MARCHやBROWNは有機燐殺虫剤に対して抵抗性のイエバエの系統が有機塩素殺虫剤に対して抵抗性のものと種々の点で著しく異なることを報告し, イエバエの有機燐殺虫剤感受性, 抵抗性の両系統のいずれの系統においてもそのコリンエステラーゼ活性度やコリンエステラーゼ阻害剤に対する感受性には有意な差異がなく, また体内における投与薬剤の活性化作用も両系統間に差がないこと, そして抵抗性はむしろ解毒機構に関係するところが大で, 体内の作用点に有機燐剤が薬効発現の臨界濃度に蓄積される速さに対し, その殺虫剤が体内で分解されて無毒物質に変化する速さとの関係が抵抗性機構に大きく関与することを指摘した。ところで, 有機燐殺虫剤および有機塩素殺虫剤の代謝的分解は薬剤の化学構造や生物の種類によって異なることが知られている。我々はニカメイガ幼虫によるパラチオンの代謝を明らかにすると共に, パラチオンに対する抵抗性と解毒機構との関係を解明するため, パラチオン感受性および抵抗性ニカメイガ幼虫にパラチオンを局所施用し, その分解物をイオン交換樹脂クロマトグラフによって分離した。その結果, 体内における分解解毒は感受性および抵抗性幼虫共にパラオクソンで行われることがわかった。しかし, 感受性幼虫ではパラオクソンのaryl-phosphate結合の分解によって代謝されるが, 抵抗性幼虫は昆虫では重要な代謝経路でないといわれているalkyl-phosphate結合の分解によって代謝されることを示した。さらにパラオクソンの分解を触媒する酵素について論じた。
日本応用動物昆虫学会の論文
1963-03-31

パラチオン感受性および抵抗性ニカメイガ幼虫におけるパラチオンの代謝

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