N-ベンジルモノフルオロアセトアミド誘導体の合成および殺虫効果に関する研究
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概要
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N-ベンジルFAA誘導体20種および関連化合物8種が合成され,それらについて殺虫効果その他の生物試験が行なわれた.その結果, (1) N-ベンジルFAA誘導体は全般的にイエバエ,ニカメイチュウ,ツマグロヨコバイ,ニセナミハダニ成虫に対する活性は低く,アブラムシ,ニセナミハダニ卵に対する活性が高かった. (2) N-ベンジルFAA誘導体のうちベンゼン環パラ位に電気陰性基(Cl, Br, NO2)を有する化合物はニセナミハダニ成虫および卵に対して強い活性を有する. (3) N-ベンジルFAAのベンジル基α位水素のメチル基による置換は,明らかにこれらの生物活性を低下させた. (4) N-ベンジルFAAのN-H基の置換は生物活性を低下させ,その低下の効果は CH3<C2H5<n-C3H7<〓-CH2の順であった.しかしN-ベンジルFAAのN-メチル基置換はツマグロヨコバイ,ニセナミハダニ卵に対する活性を増強した. (5) N-ベンジルチオFAA誘導体は対応するN-ベンジルFAAにくらべて一般にやや活性が低下するが,ニセナミハダニ卵に対しては活性が増強した. (6) N-ベンジルFAA関連化合物のうち,N-フェニルエチル, N-フェノキシエチル,およびN-フェニルチオエチル置換FAAは,ニセナミハダニ卵に対する特異牲が強い.またN-β-ピリジルメチル置換FAAはアブラムシに対して特異的に活性が強い. (7) FAAとそのN-ベンジル置換誘導体とでは,殺虫殺卵成績において明らかな相違が認められ,それは主として虫体内への漫透吸収およびN-ベンジル置換体からモノフルオロ酢酸遊離の差異によるものと思われる. (8) N-ベンジルFAA, N-4-クロロベンジルFAAのマウスに対する急性毒性(LD50,I.P.)は低く,モノフルオロアセトアミドのそれの1/10〜1/20に低減される.またこれらのチオアナローグはほぼ同等の毒性を示したが遅効的であった.なおこれらの化合物の魚毒性は比較的低かった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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