メチルジメトンの樹皮塗布による薬害について
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概要
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ミカン・リンゴを対象にメチルジメトン(メタシストックス50%乳剤,改良メタシストックス25%乳剤)の樹皮塗布(原液)による薬害を検討し,次の知見を得た。1. ミカンとリンゴでは,明らかにミカンのほうが薬害発生の可能性が大きい。これは外観からも,また樹皮組織切片の検鏡からも確められた。なおこのような相違を示す理由についても,植物組織学的見地から論及し,表皮・表層両組織の剥離の難易および形成層の生死が重要要因となることを示唆した。2. 薬害は有効成分に起因するようで,メチルジメトンP=O体もP=S体もほぼ同程度の強い薬害作用をあらわす。溶剤および乳化剤はほとんど問題はないらしい。メタシストックスと改良メタシストックスとでは,後者のほうが薬害の懸念が少ないが,これは有効成分%が低いためと考えられる。3. 薬害の要因として塗布量を考える場合には,樹皮単位面積当たりの塗布量(単位塗布量)を重要視すべきである。改良メタシストックスの原液塗布の場合には,0.6cc/100cm2程度の引き伸ばし塗布を行なえばミカンでも薬害は著しく緩和される。1cc/100cm2以上になれば,かなり危険性が増大する。4. 高温・多照・過湿は薬害を誘発しやすいが,特に高温は注意を要する。この高温条件は,それが塗布直後に作用する場合に一層影響が大きいらしい。5. 薬害防止(軽減)の方向としては,メタシストックスより改良メタシストックスを使用すること,また単位塗布量・環境条件についても考慮し,これら各項の組合わせ効果を考えるべきであろう。なお有効成分%を低めた塗布専用製剤の創製も1案と考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1962-12-20
著者
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