タマナギンウワバおよびその近似種(ヤガ科)の生態に関する研究 : II.タマナギンウワバの発育に及ぼす温度の影響
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概要
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蔬菜害虫タマナギンウワバの各態を25°Cおよび30°Cの恒温と種々の室温下で飼育して,卵,幼虫およびさなぎの発育と成虫の寿命に及ぼす温度の影響を調べ,あわせて東京都府中付近における発生経過を考察した。飼育法は20頭前後の集合飼育と単独飼育とを併用した。1) ゴボウ葉供試,集合飼育の場合,本種の有効積算温度はそれぞれ卵期66.7日度,全幼虫期223.6日度,よう期101.8日度であって,理論発育零点は卵8.0°C,幼虫8.0∼9.6°C,さなぎ12.2°Cである。各態,各令の発育期間と温度との関係を第1, 2表に示した。2) ゴボウ葉供試区は発育が良好であって雌雄の発育速度には差が認められなかった(第4表)。またこの区では集合,単独両飼育条件の間において令の発育速度に若干の相違がみられたが,全幼虫期,あるいは幼虫とさなぎの全生育期を通じると両飼育条件間に有意差を認めることができなかった(第5表)。3) 本幼虫の令数は普通5令であるが,しばしば6令型幼虫を生ずる。高温において6令型幼虫の増加する傾向がみられたが,温度がこの現象を支配する有力な因子であるとは考えられない。4) 飼育による成虫の寿命は22°C付近で17日前後,28°C付近で9日前後であり,雌雄間に差を認めえなかった。5) 本種は通常各態とも決して休眠することがなく,積算温度の法則より,東京府中地方では年間最大5回発生しうるように推定される。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1959-09-30
著者
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