シロスジカミキリ成虫の行動
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概要
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1980年5月から7月まで,東京都小平市の雑木林でシロスジカミキリ成虫の行動調査および観察を行った。成虫の脱出期は5月下旬から6月上旬であった。1樹当たりの脱出虫数は1∼2頭が最も多かった。成虫の行動はマーキングによる個体識別によって観察した。脱出後,成虫はコナラ樹冠の枝条部に停留し,当年又は前年の枝の樹皮を後食する。交尾は後食によって性成熟するまで行われないと考えられた。性成熟した個体は日没後,樹冠の枝条部から樹幹へ降下し,夜明けと同時に再び枝条部に戻る行動をくりかえしていることがわかった。降下時刻は午後7時30分から9時の間が最も多かった。交尾,産卵行動は樹幹で夜間に行われる。雄は雌を樹幹で待ち伏せする行動をとることがわかった。交尾後,雌は産卵行動に入るが,雄は雌の背面にマウントしたまま共に行動し,その間頻繁に交尾する。雌では産卵管を抜去したあとの産卵孔を塞ぐ行動をとるのが観察された。標識再捕による観察ステーション内の移動を調査したところ,雄は雌より移動距離の大きいことがわかった。はじめ,ペアになった雌雄が同一樹に長く停留する例も観察された。
- 1981-08-25
著者
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